暗い聖堂の中、悲鳴混じりの喘ぎ声と、淫らな水音だけが響いている。

「や・・・あんっ、あ！」

腕の中でその身を跳ねさせる花月を、俊樹はまた激しく突き上げた。

準備もろくにされなかったそこは、血を流しながら深く深く犯されていた。

「あっ・・・あぁっ」

どんなに惨い目に遭わせても、自殺の心配がないので口は自由にしておく。

花月の魂は、既に俊樹の手の内。

この体は、もう俊樹の人形なのだから。

その啼き声は、まるで毒のように、俊樹の頭に甘く甘く染み渡った。

「あ・・・っくぅ・・・・・」

「イイ、な・・・・あの絃の花月が・・・こんな風に喘ぐとは・・・っ」

「イ、ヤぁ・・・・」

拒絶の言葉に意味はない。ただ、今だ慣れぬ内で、男の迸りを注ぎ込まれ、反射のように洩れた声。

「ふっ・・・うっ・・・・・」

意思を奪われ、石の床に爪を立てて、脚を開かされたまますすり泣く姿は、まさに犯された�￥裸�そのもの。

「筧に十分仕込まれていると思っていたが・・・きついな」

ずるりと自身を引き抜き、血と精液をこぼすそこを指で押し開いて検分する俊樹は、うすうす感じていたことを確信した。

「初めて、か」

口元を歪め、実に楽しそうにくつくつと嗤う。

「なら、俺好みに調教してやる。どうせお前は、俺の人形だ」

花月の・・・いや、オルフェウスの空ろな瞳が、生理的な涙に揺れて、俊樹を見上げている。

コレはもう、俊樹のものなのだ。

これ、は。

「しかし、きついな。・・・・少し、緩めないとな」

言って、あたりを見回す。

いつも、「天使」たちがゲームメイクをしている聖堂だ。

俊樹はテーブルの上に目的のものを見つけ、冷たい床にオルフェウスを転がしたまま立ち上がった。

「このくらいの太さが、丁度いいか」

燭台の蝋燭を吹き消し、その一本を取る。溶けた蝋のグロテスクに絡まるそれを、彼のよく見えるところで弄び、ぺろりと舐めた。

まだ熱く、固まりきらない蝋が舌を焼く。

「は、ぁ・・・」

しどけなく開かれたままの足首を掴み、引き上げる。

白い脚が、暗い部屋によく映えて美しい。膝を掴まれて、再び秘所をあらわにされたオルフェウスが身を震わせたが、俊樹はそれを心地よく感じただけだった。

「大丈夫だ。もう冷えた。火傷はしない」

「は・・・っ、ああっ！」

蝋燭を、傷ついた場所にねじ込まれる苦しさに、再びの悲鳴が上がる。

閉じられた眦から、涙がぽろぽろとこぼれて止まらない。

「フ・・・似合いの媚態だな」

力ない脚を押さえ込み、差し込んだそれをぐりぐりと押し込んでは捻じり回す。

赤い肉が、蝋の瘤に巻き込まれ、入り口の傷が広がって、白い蝋燭を赤く汚した。

自分の欲望を遂げていたときよりも、苦しむ花月の姿態がよく見えて楽しい。

「あ・・・あっ・・・ああっ・・・・・」

「感じてきたのか？淫乱だな」

言葉でさらに貶めながら、体液の絡まるそれを、いっそう深く突き刺した。

「ぁ・・・あぁ・・・は、ぁ・・・・・」

「しばらくそうしていろ」

ぐち、と、限界まで深く蝋燭を差し込んだまま、俊樹はオルフェウスの腰を抱えて祭壇の上に引きずり上げた。

「ひと仕事してくる」

帰る頃には丁度よく緩んでいるだろう、と耳元にささやき、オルフェウスが身を震わせるのに満足して、離れる。

淫らな供物を乗せた祭壇を前に、据付の椅子に座った俊樹はカードを広げた。

ルシファーにもらったばかりの「魔犬ケルベロス」と、手に入れたばかりの「絃術師」を加えた戦い方を考えなくてはならない。

カードを繰り、イメージを広げる。

時折聞こえる苦しげな声が、心地よくイメージをくすぐった。

今ならば、何を相手にしても、負ける気がしない。

「っ・・・・あ・・・あぁ・・・」

あの男も来るだろうか。来るといい。

「頃合いか？可愛がってやる」

「っ、や・・・・」

あいつは、こんな花月は見たことがないだろう。

体内から異物を引き出され、びくびくと震える細い肢体。

「そんなに気に入ったのか？なら、また入れてやるからとりあえずこっちで我慢しろ」

「はんん・・・・」

随分と抵抗のなくなった肉は、血に泣き濡れて粛々と俊樹を受け入れた。

「あん・・・あっ・・・・」

白く、肩甲骨の浮き出た背に、黒い髪が散ってのたうつ。

絃を操るはずの指が、俊樹の背を掻いて震えた。

「花月・・・」

意思を奪われ、楔に繋ぎ止められた体を抱きしめ、俊樹は思うさま焦がれ続けた花月を抱いた。

俊樹は知らない。

花月の放った紅い絃のことを。

そして、さらにもう一本の糸が放たれていたことも。

花月の唇が、わずかに震え、幼馴染の名をかたち作ったことも。

「・・・・・・・・・・・んんっ・・・・」

この夜、初めて呼んだ名は、初めての口付けに阻まれて、消えた。

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